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第145話・ガラスに書かれた文字(だれかたすけて)
2階のニーニの部屋のガラス窓に書かれていたその文字を見つけたのは、クリオだった。「なにこれ?『だれかたすけて』」とゆっくりと読んだ。横にいた私も一緒に読んだ。確かに「だれかたすけて」と書いてある。「ね、ニーちゃん、これニーちゃんが書いたの?」と、ベッドに寝そべっているニーニを振り返って聞いてみた。

すると、「そうだよ」と淡々とした口調で答える。「どうしたの?何かあったの?」私が心配して聞いても、「べつにないよ」「じゃ、どうして『助けて』なの?」それでも、ニーニはすぐには答えずに渋っていたが、「ちがうよ、それはただ書いてみただけだよ。おしばい、ドラマのまねだよ」などと、よく分からない答え方をしているだけ。クリオも心配顔になっているけど…。それ以上のことは聞けそうなかった。

「ふーん、そうなの?本当に何もないんだね?何か助けてほしいことがあったらちゃんと言わなきゃだめだよ。でないと助けてあげられないじゃない」そう言うと、「わかった。でもほんとに何もないから。ただガラスに書いてみただけだから」と言うばかり。

けれど私は、そのひと言のガラスの文字が頭からずうっと消えないのだった。(本当にその言葉通り何もないのならいいけれど、でももしかしてこの子の心の中に何か人には言えない大きな問題が隠れているとしたら…)と、つい考えてしまうのだった…。
第144話・リコーダーと小鳥の演奏会
絵を描くことが大好きなニーニは、私のアパートに来たときは大抵いろいろな絵を描いてくれる。最近気に入っているのは、大きめの付箋一枚一枚にいろいろな姿の女の子の絵を描いているものだ。可愛い魔女、様々なヘアスタイルの子たち、ウインクしていたり、帽子をかぶっていたり、リボンを付けていたり、ダンスをしている子など、どの絵もみんな生き生きしている(#^.^#)

またある時は、A4サイズのコピー用紙に「小鳥の演奏会」と題した絵を描いた。4年生になって、学校でリコーダーを吹くようになっていたので、こんな絵が生まれたのかもしれない。

女の子がリコーダーを吹いていて、横の小鳥たちと演奏会?花々や木々の他にたくさんの音符のマークが一緒に揺れているようだ(^。^)y-.。o○絵の下には詩のような文も書いてある。「私がリコーダーを吹いていたら、ことりが3びきとまってきた。私の頭にもとまったよ。まるでえんそうみたいだった。もう一回やりたいなー」ほんと、頭の上にも小鳥が一匹止まっている(^^♪

またニーニは、よくふたりで見たDVDのアニメ「アナスタシア」の絵も描いてくれた。キュートで生き生きとしたアナスタシアがよく描かれている。ニーニはこの絵に「ロシアの国ひめアナスタシア」という文字を入れて満足そうだった(^_-)-☆私はニーニの絵が大大好きなのである💛
第143話・シチューを手に受けて・・・
ニーニはのんびりと穏やかな性格なのに、負けず嫌いなところが秘められている。例えばゲームでも負けたくない気持ちがあって、真剣になって、負けると口惜しさが表情に出ることがある。小学3年生のころあるテストが予定されていて、そのために友達とテスト勉強をしていた時のことだった。

たぶん先走ってそのテストのことを考えすぎてしまったようで、ニーニの心はその緊張感に押しつぶされてしまったのだろうか…、突然気持ちが悪いと言って体を横に向けて嘔吐する仕草を見せた。様子の異変に気付いて、すぐにニーニのそばに寄り添った私の両手が咄嗟にその口元に伸びた。ニーニの吐しゃ物は私の手の中に…。あっという間のことだったが、お陰で冬物のカーペットは殆ど汚れずに済んだのだった(*^-^*)

それを見ていた男の子が、「あ、ニンジンとジャガイモだ。給食のシチューだよ」と言っている。ヤレヤレ(@^^)/~~~ニーニはそれ以上吐く気配もなく、顔色もよくなった。

それにしても、ニーニだから私の手は自然に延びたのだろう。他の子であったら、カーペットが悲惨なことになると分かっていても、手が出ることはなかっただろうと思うのだった。ニーニへの愛の証なのかなあ(#^.^#)と思う💛
第142話・前世の話をする子
ニーニは私の膝の上にのってきて、「あのね」と言った。「何?」「ニーちゃんね、なんかいもうまれてきたの」「何回も?」私は内心ドキドキしながらそう聞いた。「うん、おんなにもおとこにもうまれてきたよ。うーんとながいきして、90くらいまでいきたときもあったよ」「そうなの?覚えているの?」「うん、あいずにもいたし、いわきのほうにもうまれたよ」「そうなんだ…」私は当時小学2年の子が次に何を言い出すのか分からずに不安を覚えた…。普通の子はこんなことは言わないだろう(@^^)/~~~

私がよく神さまの話をして、神さまはどんな不思議なこともできるし、どんな世界も自由に行き来できるし、なんでも知っていて何でもできて、風のように自由で,空のように大きくてとても素晴らしい存在であることを口にしているから、この子は何でも自由に話してもいいと思っているのかもしれない…。でも、何かとんでもないことを言ってきたとき、私はそれを受けとめられるのだろうか…?

「ねぇ、ミューサ、あのねって」「な、なに?」「だから、ニーちゃんいっぱいうまれてきたんだ」「すごいねぇ」私がニーニの話をちゃんと聞いていないと思ったのか、ニーニはその後はふと気が変わったように違うことを言い出して、その前世の話は終わりになったのだった(*^-^*)
第141話・そっと振り返って (とめてくれるといいのになー…)
ニーニは学童保育園を止めてから、私のアパートに来ていることもあった。ふつう私の仕事の定休日は平日だったので、ママが忙しい時は私のアパートで夕方まで遊んでいた。

勉強を見てやったりもしたが、たいていは近くの公園に連れて行って遊具で遊ばせた。滑り台やブランコやターザンなどで遊び、たまにクリオも一緒の時はふたりでキャッキャッ言いながら、シーソーをしたり、シャボン玉を飛ばしたりしてはしゃいでいた(^。^)y-.。o○

その日は外に出ず部屋で宿題をしていたが、ニーニは飽きてきて外に出たがった。私としては、ニーニの苦手な算数をもう少しやらせたかったので、ぐずっても勉強を続けさせたが、そのうちニーニの機嫌が悪くなり、「じゃ、いえにかえる」と言い出した。「もう少しがんばったら、おうちに車で送っていくから」と言い聞かせても、ニーニは「かえる」と言い張った。そして、玄関から出ていこうと、した。私が引き止めても、ただ「かえる」の一点張りだった。「ほんとに一人で帰れるの?」と聞くと、「うん、かえれる」と言う。徒歩で帰れない距離ではなかったけれど、バイパスと連結している道路橋を渡るのに、左右の車の確認を何度もしなければいけないし、徒歩で初めてそこを通るのは、子供には危険な場所だった。何度もそのことを言い聞かせたけれど、ニーニの意志は固くて「かえる」と言うのだった。

「分かった。じゃあ、ちゃんと左右を何度も見て、車に注意して帰るんだよ。渡るときは右手を上げて渡るんだよ」と繰り返し教えた。ニーニは「わかった」と頷いた。歩き出したニーニの後姿をしばらく見ていたが、戻ってくる気配もなかったので、私は部屋に戻り、窓からニーニの姿を追った。

車も行き交っている道路橋の歩道側を車に気を付けながら小走りに行く姿が見え、また次の信号で立ち止まって、右手を上げながら、車の前を渡っていくのを見届けた後、ニーニの姿は視界から消えた。あとはもう窓からは見えなかった。

最近ケイタイを持たされていたから、家に着いたら電話をするようにと言ってあったけれど、こっちから掛けてみると、ニーニは「ついたよ」と電話に出て言った(*^-^*)

『かわいい子には旅をさせよ』という諺もあるのだから、これもよい経験になってくれるだろうと自分に言い聞かせた。それにしても、ニーニは一体どんな気持ちだったのか…と思った。

のちにニーニが言うことには、「ほんとは、あのときひきとめてほしかった」のだという。「うしろからおいかけてきてくれないかなぁ」と思ったのだという。(そうだったんだぁ…)

そんなことが3,4年生のころに2回あったのだった。2度目のときは、そっと振り返ったのに、私の姿はなかったのだという。でも、その時、アパートの建物の角に隠れて立っていて、振り返ったニーニの横顔をを見ていたのだけれど…。ちょっと泣きそうに見えたので、思わず追いかけていきそうになったが、かろうじて思いとどまったのだった( *´艸`)
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