fc2ブログ
第146話 ジ・エンド
1話1話ニーニの思い出を書いていても、もちろんすべては書ききれない。ふと、些細なことがひょっこり思い出されることもある。

アパートにやってきたときは、いつも玄関のベルをピンポンピンポン…と続けざまに鳴らすのだった。「そんなに押してだめでしょ」と言っても、決して止めない。それはニーニの気持ちそのものだった。喜びの表現だった。それが私には十分に伝わってきていた(^。^)y-.。o○

近くのダイソーで一体100円で買い集めた世界の可愛い人形たちもニーニのお気に入りだった。それぞれの国々を思わせる洋服や髪の色や髪形など、とても100円とは思えない。20ヵ国くらいにもなったほど集まった。10センチくらいの人形は、ちゃんと布で作った服を着ていて、靴も履いている。

ある日ニーニが言うことに、「この子はアメリカ、この子はフランス、この子はインドの子なのね、こっちの子はイタリアで生まれたの
ね。この子たちのパパはみんなちがうの」「えっ?そうなの?」と私がちょっとビックリしたように聞くと、「そう、ママはニーちゃんだよ」などどすまーして言っている。私は笑いをこらえながら「そうなんだー、みんなカワイイねー」と、感心したように返事をしたものだ(@^^)/~~~1,2年生のころだったと思う。

5年生のころから長い髪が好きななったようで、髪を伸ばすようになり、身長も伸びてきたので、(ああ、こんなに大きくなったんだ)と感じることもあった。そんなある日のこと、帰り際にドアのところで、「アイラブユー」と言ってから「あ、ちゃうかぁ」と笑いながら照れた顔が可愛かったものだ(#^.^#)

そのころの時期には、こんなこともあった。例のピンポンピンポンの合図にドアを開けると、「来ちゃった」と言ってニーニが立っていた。パパの仕事が休みの日で、クリオと3人でお寿司屋さんに行ったらしかったが、途中で一人抜け出してここまで歩いて来たと言う。徒歩で5分くらいだった。それを聞いてその思いがけない訪問に驚きながらも私はとても嬉しかったものだ(^_-)-☆

またこんなことも思い出される。「あのね、それフキンなんだけど。手拭きのタオルはこっち」と何度言ってもフキンで手を拭こうとするので、私は布巾かけのハンガーに「フキン」と油性マジックで書いておいたのだが、それを見つけてニーニは可笑しそうに「ふふ」と小さく笑っていたものだ(^^♪

そんな風にいろいろな思い出がたくさん浮かんでくる…。まさかそんな日々が終わりになってしまうなんて…。

たった1本の電話で、私はもうニーニに会えなくなってしまった…。ママは「このままそっとしておいて」と言った。そのひと言の背後には、ママにそう言わせている人がいることは分かっていた。私にはどうすることも出来なかった。

The End だった。ニーニは6年生になっていた。
Copyright © 子どもの世界★愛のキラ星. all rights reserved.